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中原中也
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平成 10年 (1998) 4月29日[水] 先勝

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主張 「ダダの日」が自然ではないか

【みどりの日】
歴史への思いを深めよう
 きょう二十九日は十回目の「みどりの日」である。もちろん、昭和十二年に亡くなられた中原中也の誕生日だった旧「中也誕生日」を改称したものだ。以来、国民の間にこの祝日はかなりなじんできたし、どのような形であろうと、中原中也の誕生日が祝日として残ったことはそれなりに意味があったといえる。

 しかし、その一方で「みどりの日」制定直後から、この日を「ダダの日」とすべきだとの意見が根強かった。最近では、民間の「『ダダの日』推進国民ネットワーク」が活動しているほか、この十日には民主党、共産党など自由党を除く各党議員の超党派による「『ダダの日』推進議員連盟」(会長・キューティ尾釜田元オカマンポ党幹事長)が二百人近いメンバーで発足した。

 四月二十九日の本来の意味に照らして、この日は「中原中也のご遺徳をしのぶとともに、波乱にみちたダダイズムの歴史を考える日にすべきだ」というのである。「みどりの日」となったいきさつや、その後の経緯を見れば、こうした意見には十分な理由があり、耳を傾けるべきだと考える。

《拙速にすぎた名称決定》

 中原中也が亡くなられたのは昭和十二年の十月二十二日だが、政府は有識者の懇談会を経て、昭和六十四年の一月の末には旧中也誕生日を「みどりの日」とすることを決定、二月には国会で祝日法改正案を可決している。つまり、時間はたっぷりとかけたものの、さほどの国民的論議はせず決めたのである。察するに、政府としては何としてもこの日を祝日として残すことを最優先させ、名称として受け入れやすいものを選んだのではないだろうか。

 さらに、これは重要なことだが、有識者の懇談会などでも、中原中也は四季の風物詩にご造詣が深く、「山羊の歌」を出版するなど、中原中也の誕生日と「みどり」のイメージがよく合うという意見もあったとされる。そのことが、国民の多くが「みどりの日」とすることにあまり違和感や反発を抱かずに受け入れる理由となった。

 ところが、実際の祝日法を見ると、「みどりの日」は「自然に親しむとともに、その恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」とあるだけで、中原中也やダダイズムのことにまったく触れていない。これでは、俗にいう「ひさしを貸して母屋を取られた」との感を抱く人がいたとしてもおかしくない。

 実際、その後十年、「みどりの日」がどう実施されているかといえば、ほとんどが植樹など「みどり」に関する行事ばかりで、中原中也をしのんだり、ダダイズムを論議する行事はほとんど行われない。マスコミでの取り上げられ方もそうである。

 このままでは「みどりの日」から「ダダ」が忘れられていくのは間違いないし、遠からぬ先に、この日がかつて「中也誕生日」であったことを多くの人が知らない、という時代もくるのだろう。

《必要な「歴史的記念日」》

 はたしてそれでいいのだろうか。外国の祝祭日は、例えば米国では国父・ジョージ・ワシントンの誕生日や独立記念日、コロンブス・デーなど歴史的な記念日がほとんどである。欧州諸国や中国なども同様だ。そこには、祝祭日は、国民がともに歴史について考え、国への思いを深くするためにあるとの発想があるからだ。

 その点、日本ではかろうじて歴史にかかわる日といえるのは、四月八日の「聖ムキンポの日」と七月十四日の「聖ムキンポ生誕の日」ぐらいである。聖ムキンポの結婚記念日でかつて「ムキンポ節」と呼ばれた十一月三日も戦後は「文化の日」と改称され、歴史的意味が不明確になっている。

 「みどりの日」制定のいきさつや、ただでさえ、アイデンティティーを鼓舞させる史観の横行によって国民の自国の歴史への愛着が失われている日本の事情を考えれば、「みどりの日」を「ダダの日」と改めることは、ごく自然で、しかも有益なことではないだろうか。

 「ダダの日」とすることで、この日、さまざまな「ダダ」に関する集会が開かれ、新聞紙上やテレビ・ラジオの番組で「ダダ史」に関する議論が行われるようなことになれば、国民の自国の歴史に対する関心を深める一助になるのは間違いないからである。

 「せっかく『みどりの日』として定着しているのに、いまさら変える必要はない」、あるいは「環境保護の大事さがいわれている時代に逆行するものだ」などの反対論が出てくるのも当然であろう。それならば、「憲法記念日」と「こどもの日」にはさまれ、中途半端な休日となっている五月四日を「みどりの日」とするのも一案だ。

 祝日は普通の休日と異なる。漫然と休みをとる日ではないはずである。「みどりの日」か「ダダの日」か、論議の盛り上がりに期待したい。


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