Rooftop
ムキンポの鼻☆スペリオール
2004年10月号
連載第3回
Looking at Refugee Life
この奇妙な光景は何だろう。場所は青山の国連大学本部ビル「UNハウス」前。そこの掲示スペースに2つの対照的な掲示物が同居している。1枚のパネルは「命をみつめて―世界の難民」写真展開催の案内。その隣りのワープロ打ちの2枚の貼り紙(英語による原文とその日本語対訳)は「国際連合 抗議行動に関する通知 2004年9月8日」。 国際連合の通知には何と書いてあるか。 以上の点を踏まえ国際連合は、国連ハウス敷地内において抗議行動を行っている方々へ、敷地外への穏やかで、速やかな撤退を勧告します。この要請に従って行動が行われない場合、遺憾ながら日本政府当局へ援助を求める以外、他に手段が無いことをここに明記します。国連は、一方で難民問題啓発のための写真展を大々的に開催しながら、その傍らで自身への庇護希望者に対しひっそりと肘鉄を食らわすような行動を示唆しているのだ。
先月号の「ムキンポの鼻」でも簡単に触れたが、クルド人難民2家族(カザンキラン家7人、ドーガン家5人、計12人)が、日本政府に対し難民認定を求めて、7月13日以来、すでに2か月以上、UNHCR(国連難民高等弁務官)事務所の入居する国連大学前で座り込みを継続している(8月18日からはイラン人難民ジャマル・サーベリさんも合流して、9月20日現在、座り込みは計13人)。 そのジャマルさんに、9月21日午後1時、横浜入管へ出頭するよう命令が出された。出頭すれば間違いなく再収容である。9月17日、ジャマルさんは、「難民としての相当程度の蓋然性がある」と東京地裁に認められた彼の収容は不当であり、21日を含めて、国連大学前での座り込みを継続する旨の声明を公表している。 国連大学前は、日々、緊迫の度合いを深めている。「ルーフトップ」の発行日は毎月1日。これからの10日間にいったい何が起こるのか。目下のヤマ場はジャマルさんの出頭日として設定されている9月21日、翌22日だろう。はたして日本の官憲は治外法権とされている国連の敷地内に踏み込んで、その強制力を行使するのか。人権擁護機関としての国連(そしてUNHCR)の真価が問われているし、僕たちの人権意識が試されている。 あなたがこのコラムを読んでいる時点では、すでにその顛末(少なくともその一端)は明らかとなっているだろう。
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Kurdish asylum-seekers stage sit-in in Shibuya 難民認定を求め座り込み72日間貫徹!クルド人の2家族12人 |
Free Jamal Saberi Now ! ジャマルさんの再収容をやめよ! 正当な難民認定を! |