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ムキンポの鼻☆スペリオール

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2006年6月号

連載第23回

プレカリアートの企みのために



 4月30日(日)、渋谷で「自由と生存のメーデー 06 ―プレカリアートの企みのために」 集会&サウンド・デモが開催された。プレカリアートとは、precario(不安定な)と Proletariato(プロレタリアート)とを組み合わせた造語で、最近、ユーロメーデーの中で広く使われるようになった言葉らしい。渋谷のサウンド・デモは、ひどいときにはデモ隊列の両側を機動隊が隙間なくサンドウィッチして沿道の人びとから不可視化し、自由な往来を遮断し(おしっこにも行かせない!)、さらに反対側の歩道にまで機動隊をびっしり整列させるという、なりふり構わぬ警察の規制で、以前より荒れるのが常だったが、この日はいつにも増して警察の態度は異常だった。何しろサウンド・デモとして申請し、許可を出しているにもかかわらず、出発直前になって、トラックの荷台に乗るな、サウンド・システムを操作するな、とクルクルパーなことを言ってきたのだ。


 そのような理不尽な規制をはね除け、ようやくサウンド・カーは神宮前隠田区民会館前の明治通りを出発したのだったが、表参道を上がって原宿駅頭にさしかかったところで、DJとそれを守ろうとした参加者が暴力的に逮捕され、サウンド・カーも強奪された。DJは道路交通法違反容疑のデッチアゲ、参加者は公務執行妨害容疑のデッチアゲだった。何しろ警察は「クルマから降りないと逮捕する」等と印刷された複数のプラカードをあらかじめ用意してきていて、出発前からこれ見よがしにそれらを掲げ、介入してきたらしいのだから、当初より計画されてた逮捕=弾圧だったのだろう。


 渋谷駅頭でもさらにもう1人、バルーンを守ろうとした若者が公妨容疑のデッチアゲで逮捕された。いったい警察は何を恐れ戦いているのか。想像するに、サウンド・デモがあまりにかっこよく、魅力的すぎるからだろうか。サウンド・デモが進みゆくにつれ、沿道に居合わせた、普段、特に政治的ではないだろう若者たちが、どんどんストリート・レイヴの環の中へと加わっていく。その姿に、昨年春の中国での反日デモや秋のフランスでの郊外暴動、また今年春の反CPE闘争、等々を重ね合わせて、過剰にビビっているのかもしれない。
 幸い3名の被弾圧者は、反弾圧集会当日であった5月11日(木)までに全員が無事解放され、うち2名が満員の会場に元気な姿を現し、万雷の拍手で迎えられた。新しい「企み」はつづく。



2006年4月30日(日)
自由と生存のメーデー 06
---プレカリアートの企みのために

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